対馬在住の版画家、樋口貫さんは、対馬に伝わる紙「仁田紙(にたがみ)」の復元に取り組まれている。
樋口さんの作品のテーマは「石屋根」。対馬の農村部にみられる、平らな石を重ね合わせた石ぶきの建物。今も厳原町椎根地区には、長崎県の有形文化財「椎根の石屋根倉庫」が連なり、現役で穀物などの倉庫として使われている。 樋口さんは35年にわたって、木版画を彫り続けてこられ、そしてここ数年、版画には切り離せない和紙もご自身の手で作られるようなった。対馬に古くから伝わる製紙技術をひもとき、版画用に改良されたということだ。 対馬では「仁田紙(にたがみ)」という手漉きの紙が昭和25年まで作られていた。夏場にコウゾと「かごの木」(学名:雁皮)の皮を使って作られ、障子紙、粉を干すための敷物、ざるの貼り紙などとして使用されていた。最後の製作者である、川本さんという方が作られたものを拝見させていただいた。随分と古いものだと思うけど、とても頑丈で全く古びた感じがしない。さすがは生活の道具として使われていた紙だ。 版画用に和紙づくりを始められた樋口さんだったが、多くの方に対馬の紙に親しんでもらえるようにと、照明器具などの制作も始められた。こういう風に、対馬に伝承される貴重な技術を、今も使えるものとして息を吹き込まれたのは、本当にすごいなぁと思う。 あとりえkan 〒817-0006長崎県対馬市北里91-2 TEL/0920-52-3816 □対馬の樹 http://www.tsushimanoki.net
by tsushimanoki
| 2008-11-05 15:09
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