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対馬の樹


WEBサイト『対馬の樹』より
by tsushimanoki
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WEBサイト『対馬の樹』のコンテンツ「対馬のこと」をご紹介しています。皆様のご意見やご感想をお待ちしています。
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清話会様への原稿⑨ 今年も蜂蜜の季節に

清話会様のメールニュースの原稿をアップしました。お時間のある方はどうぞお付き合いください。

<清話会について>
中小企業向けに情報誌を発行したり、講演会やセミナーなどを開催している、東京に本社を置く会社(昭和13年創業)が運営する会員団体。清話会では、全国各地の中小企業の経営者約3000人に対し、週に2回程度メールニュースを発行されていています。このメールニュースに、月に1回、執筆させていただいています。
■清話会WEBサイト http://www.seiwakai.com/

◇今年も蜂蜜の季節に

対馬には「蜂洞(はちどう)」と呼ばれる、高さ1メートルくらいの丸太をくりぬいたニホンミツバチの巣箱が、山林や畑、自宅の庭先など、いたるところで見られます。遠くから見ると石碑かモニュメントのように見える「蜂洞」のある風景は、対馬ならではの独特な景観といえます。

9月下旬から11月にかけて、年に一度の収穫の時期を向かえ、うまく蜂を誘い込むことができている「蜂洞」の中には、黄金色の蜂の巣が形成されています。養蜂をしている人たちにとっては待ちわびた季節の到来です。地元のスーパーなどでは、手作業で瓶詰めをした小さな蜂蜜の瓶が並び始めます。

日本で消費されている蜂蜜の約95%が海外からの輸入品で、中には人口甘味料などを加えた加糖蜂蜜も多く出回っていて、国産の蜂蜜はほんのわずか。しかも国産の蜂蜜のほとんどは、セイヨウミツバチの蜂蜜で、純粋なニホンミツバチの蜂蜜はそのうち1割くらいしかありません。対馬の場合、自家用や贈答用として消費されるものが大半で、島外に出回っているものはあまりなく、対馬産のニホンミツバチの蜂蜜はまさに「幻の蜂蜜」です。

私は友人や知人からおすそ分けしていただけるため、この貴重な蜂蜜を味わうことができるのですが、かなり強い甘みがあり、独特な高い香りを持っています。お手ごろな価格で手に入るサラサラとした蜂蜜とは全く違った風味。ヤブツバキ、ヒトツバタゴ、ゲンカイツツジなど様々な種類の花木の蜜を通年で集めているため、別名「百花蜜(ひゃっかみつ)」とも呼ばれ、対馬の山の恵みをぎゅぎゅっと凝縮しています。100グラム1000円程度で販売されている、たいへん高価なものでもあるので、トーストにほんの少しずつぬって、いとおしむようにして食べています。

明治時代より、日本各地で、収穫量がニホンミツバチの4~5倍もあるセイヨウミツバチによる養蜂が盛んになっていく中、対馬では、昔ながらのニホンミツバチによる養蜂を守ってきました。セイヨウミツバチによる養蜂を取り入れなかったのは、商魂たくましくない島民性ゆえかもしれませんが、おかげで、離島ということもあって、ニホンミツバチだけが生息する特異な場所となりました。

最近は、セイヨウミツバチの大量死が世界的に話題になったこともあり、以下のような理由から、ニホンミツバチが見直されています。

①ふそ病やチョーク病などの伝染病にかかりにくい。②ダニや大スズメバチに強い。セイヨウミツバチは、数匹のスズメバチの攻撃で巣が全滅することもあるが、日本ミツバチは、複数で噛んで動きを封じ、羽の筋肉を収縮させ、熱を出して47度くらいにし、むし殺してしまう。③寒さに強い。セイヨウミツバチが動けなくなる11度以下でも、花粉を集めに出ることもある。④体は小ぶりだが、動きが敏捷で、多様な花の蜜、花粉や果汁をこまめに集めることから、深い味わいの蜂蜜ができる。
『日本ミツバチ』(藤原誠太著、農文協発行)より

対馬の場合、効率ばかりを重視せず、伝承を大切にしてきたため、貴重な財産が守られたのだと思います。また、自然界に対して人間の事情ばかりを押し付けていると、思わぬ落とし穴にはまってしまうということを感じます。

ぜひ一度、対馬の蜂蜜を味わってみられてください。お問い合せは、対馬市ニホンミツバチ部会までどうぞ。

対馬市ニホンミツバチ部会
〒817-0003対馬市厳原町南室22-1
TEL/0920-52-2677

□対馬の樹 http://www.tsushimanoki.net

by tsushimanoki | 2009-09-29 09:23
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